ヨガの経典ウパニシャッドからヨガ哲学への理解を深める【初心者向け】

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ヨガ哲学とは、ヨガの歴史を通じて人々に受け継がれてきたヨガの目的や定義、考え方のことです。ヨガの起源は古代インドにあり、はじめは胡坐(あぐら)と瞑想のみだったと言われています。古代より引き継がれた経典をもとに、現在のポーズ主体のヨガと変化していきました。この記事では、現在のヨガ哲学に通ずるヨガの経典ウパニシャッドの一部を【初心者向け】にわかりやすく解説します。

目次

ヨガ哲学とは

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先ほどヨガ哲学は、ヨガの目的や定義、考え方のことと記載しました。それはインド文化と非常に密接なかかわりがあります。ヨガの起源はインダス文明が栄えていたころと言われています。しかし、実際に文書として初めて残されたのは、紀元前1500-1300年頃、アーリア人のインド侵攻によりインダス文明が衰退した時代になります。

それはヴェーダという、バラモン教の聖典でした。バラモン教はヒンドゥー教の前身と言われています。ヨガは宗教と密接に関わりながら伝承されてきました。ヴェーダには、ヨガ哲学の基礎となる教えが以下の4つに分けて記載されました。そのうち、リグ・ヴェーダはヨガ、アタルヴァナ・ヴェーダはアーユルヴェーダについて記載されています。

ヨガ哲学の基礎となった4つのヴェーダ
ヨガ哲学の基礎となった4つのヴェーダ

さらにそれぞれのヴェーダは4つのセクションで構成されました。その内、最後のウパニシャッドがヨガ哲学として重要視されるようになりました。

1.サムヒター(マントラ集)
2.ブラーンマナー(儀式の手順)
3.アーランニャカ(瞑想)
4.ウパニシャッド(自己の知識)⇒ヨガ哲学として重要視された。

ウパニシャッドから読み解く

ウパニシャッドとは

ウパニシャッドは、上記に記載した通り、聖典ヴェーダを構成する1セクションで、自己の知識として記載されています。これが最近、ヨガ哲学として重要視されています。

*もともとは、他のセクション(マントラや瞑想)の方が重要視されていました。

ウパニシャッドの一つであるカタ・ウパニシャッドでは、人間をゴールに向かう馬車に例えています。「ヨガ」という言葉には、「結ぶ」「つなげる」「交わる」という意味がありますが、馬車への例えの中でも、「つなげる」ということが重要なキーとなっています。

人間をゴールに向かう馬車に例えている?

ウパニシャッドに書かれた、人間を馬車に例えるとはどういうことでしょうか。下記の図をご覧ください。この図において、馬車が向かう先は本質的な幸せ(=モークシャー;サンスクリット語で自由)です。

ウパニシャッドにおける馬車の説明
ウパニシャッドにおける馬車の説明

モークシャーに近づくためには、適切に馬車を動かす必要があります。そのためには、私たちは自分自身の身体(馬車)と感覚器官(馬)、思考(手綱)、理性(御者)を「つなげる」必要があると伝えています。この「つなげる」は、ヨガの語源でしたね。それらを適切に手入れし、「つなげる」ことで、モークシャーに向かうことがヨガの練習と言われています。

感覚器官、五感
手綱思考器官、感情
御者理性、知性
馬車本体身体、肉体
車主本当の自分、自己(=アートマー
人生、感覚器官が知覚する対象物
馬車が向かう先本質的な幸せ(=モークシャー
ウパニシャッドにおける馬車の説明

ゴールって何だろう?

ウパニシャッドにおける馬車が向かう先のゴールは、モークシャー(サンスクリット語で自由)と記載しました。今一度、モークシャーとは何なのでしょうか。サンスクリット語で、人々が求めるゴールや目標のことを『プルシャアルタ』と言います。経典の中でプルシャアルタは4つに分けて説明されます。モークシャーはその内の1つです。

1.アルタ安心、安全のために必要とするもの。お金、家、保険など。
2.カーマ楽しみ。五感を喜ばせるもの。おいしい食事、旅など。
3.ダルマ調和。よい行いによって得られる徳。人のために力を尽くすこと。
*アルタとカーマはダルマを前提にして求める必要がある。
4.モークシャー自由。束縛するもの、依存しているものから解放されること。
プルシャアルタの4項目について

アルタ、カーマ、ダルマは当然必要なものではありますが、それらを求めるだけでは限界があると言われています。
アルタ、カーマ、ダルマはすべてこの世界で手に入れることができるものですが、一方で自分を縛り付けてしまう可能性があるからです。
それらを求めることをやめて、自由を追求することで本当の幸せを得ることができると記されています。

少し哲学の深い部分に触れていますが、伝わっておりますでしょうか。
筆者は通っていたFIRSTSHIPの授業の中で一番好きだったのがヨガ哲学の授業でした。

ただ、この馬車の話はすぐに理解することができませんでした。それまで自分自身を分解し、客観視したことがなかったからだと思います。

ヨガ哲学の授業において、心と身体は与えられた道具だと習いました。それらを日々手入れして、調整して、うまくコントロールしていくことがヨガなのだと学びました。

道具に振り回されていませんか?筆者はしょっちゅうあります。
うまく生きていくことは難しい。
けれど、人生を与えられた道具を扱う遊びだと思って、モークシャーに近づくための時間を楽しみたいと思っています。

まとめ

今回は、現在のヨガ哲学に通ずるヨガの経典ウパニシャッドの一部を解説しました。少しでもヨガに興味を持っていただけましたら幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

この記事は、下記書籍およびFIRSTSHIP. RYT200テキストを参考にしています。
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