ヨガ哲学に通ずるヨガの定義・歴史・ポーズの意味合いについてわかりやすく解説【初心者向け】

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著作者:macrovector/出典:Freepik
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近年、世界的な健康需要の増加に伴い、ヨガの人気が高まっています。日本においては1か月に1回以上ヨガをしている人数は、1年に1回以上ジョギングをしている人数を越えたそうです。(2023年度)

国民の10人に1人がヨガ実践者(1ヶ月1回以上)であることがわかりました。これは2023年5月1日の総務省統計データを基に推計すると1,100万になります。笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査報告書2020年」によるとジョギング・ランニング推計人口(年1回以上)が1,055万人ですので、その数値を上回る勢いです。

6月21日は国際ヨガデー。日本人のヨガ動向の最新調査結果発表! 日本のヨガ人口(年1回以上)は1,100万人でジョギングを上回る勢い!国民の10人に1人がヨガ実践者|株式会社リブウェル新潟松崎のプレスリリース (prtimes.jp)

このように、日本においてヨガは多くの人に受け入れられつつあります。
ただその一方で、ヨガの本質的な部分についてよく知らない方は多いのではないでしょうか。
ヨガというと、いくつかの「ポーズ」をイメージされるかもしれません。
あるいはエクササイズやストレッチの一種と思われるかもしれません。
もちろんそれらの要素も含まれています。
でもヨガはそれ以上の意味も含んでいます。
ここから先の話は、ヨガを哲学や思想ととらえた方が分かりやすいかもしれません。

ヨガはインドで生まれ、ヨガ哲学として人々に受け継がれ、現代の形になりました。
この記事では、ヨガ哲学に通ずるヨガの定義・歴史・ポーズの意味合いについて【初心者向け】にわかりやすく解説します。

目次

ヨガの定義とは

ヨガの定義の前に、その語源について触れたいと思います。

「ヨガ」って何語?

ヨガは古代インドの言葉で、サンスクリット語*です。ヨガの起源は古代インドにあります。
みなさんが聞いたことがあるかもしれないポーズの名称も、サンスクリット語が語源となっています。

例:「ヴィラバドラーサナⅡ」 。(日本語だと、「戦士のポーズ2」)
サンスクリット語は大衆の言葉と区別されている言葉です。

サンスクリットとは「洗練された(言語)」という意味で、大衆の言語プラークリット(民衆語)と区別された。古代インドでは宗教、文学、哲学にとどまらず、数学、天文学、医学、建築学などの分野の文献もサンスクリット語で書かれている。

「世界史の窓 サンスクリット語」https://www.y-history.net/appendix/wh0201-067.html/ 2023年10月7日閲覧

ヨガのポーズの名称や経典もサンスクリット語で書かれています。
以前より人は、ヨガを大衆的なものより、哲学等の分野に近い存在として受け入れていたと思われます。

参考:「意外!?「ヨガ」の語源、知ってましたか??」https://diamond.jp/articles/-/92280/ 2023年10月7日閲覧

「ヨガ」 言葉の意味は?

「ヨガ」という言葉には、「結ぶ」「つなげる」「交わる」という意味があります。そのことから、ヨガの目的は心と身体をつなげることとされています。
言い方を変えると、離れてしまいがちな心と身体をつなげ、本来の健全な状態に戻す方法を提示してくれているのがヨガなのです。
さらに遡れば、ヨガの語源は「ユジュ」、「軛(くびき)*をつける」という意味です。 *くびきとは、荷台を引く牛や馬が離れていかないように、首の後ろにかけている木のこと。

ヨガの定義は?

さて、先ほどヨガの語源と意味に触れました。心と身体をつなげることと言われても、しっくりくるような来ないような気がします。
一方で「ヨガ」とは何なのかを、文書にて定義づけた人がいます。パタンジャリというインドの聖者です。
パタンジャリは、ヨガを、心のはたらきを定めるものヨーガ チッタ ヴルッティ ニローダハ)と定義し、ヨガ・スートラという経典に記しました。(1章2節)

ヨーガ チッタ ヴルッティ ニローダハ

パタンジャリ ヨガ・スートラ 1章2節

チッタ=心  ヴルッティ=はたらき  ニローダハ=定める/おさめる/静める

私が通っていたヨガスクール(FIRSTSHIP)では以下のことを強く言われました。
心のはたらきを定める/おさめることであって、心を定める/おさめることではない。
心が動くことは大前提。
そのうえで、揺れ動く心をうまく扱っていきましょうね、 と提唱してくれているものがヨガなのです。
心がすぐにざわざわしがちな現代人にこそ必要な手段に思えますが、昔から揺れ動く心を扱うことは難しかったということでしょうか。
このブログでも、多くの人がヨガを通じて、揺れ動く心をうまく扱っていけるように、と願いを込めて始めました。

ヨガの定義まとめ

ヨガは何語  サンスクリット語(古代インドの言葉)
ヨガの意味「結ぶ」「つなげる」という意味があり心と身体を結ぶという意味で解釈される。
ヨガの定義心のはたらきを定めること
聖者パタンジャリによって記されたヨガの経典 (ヨガ・スートラ)に記載。
ヨガの定義のまとめ

ヨガの歴史と現代のヨガについて

ヨガにはもともとポーズがなかった?

ヨガの発祥は今から約4500年前のインドにあると言われています。インダス文明が栄えていた頃です。
モヘンジョダロ・ハラッパーの遺跡から、胡坐をかいて瞑想している姿の彫刻が出土しました。
これがヨガの起源と言われています。このころはいわゆるポーズはありませんでした。
その後、紀元前1500-1300年頃、アーリア人によるインド侵攻がなされ、インダス文明が衰退します。
そこで代わりに繁栄したバラモン教の聖典:ヴェーダ(知識の源)が編纂されます。
ヴェーダはインド文化の土台となり、ヨガ哲学の基礎となる教えが記載されました。
その後、紀元前200年頃にバラモン教がヒンドゥー教化し、400-500年頃に先述したヨガ・スートラの編纂がパタンジャリによってなされました。

ポーズのあるヨガの誕生

ポーズのあるヨガの総称である「ハタ・ヨガ」が誕生したのはさらに1100-1300年頃と言われています。
このハタ・ヨガのルーツととなったヨガは下記4つあると言われています。

1.カルマ・ヨガ
2.バクティ・ヨガ
3.ラージャ・ヨガ
4.ジニャーナ・ヨガ

現在使われている「ハタ・ヨガ」という言葉は、そのルーツの違いによって異なる部分があるかもしれません。詳細は省きます。
このように、当初胡坐と瞑想のみだったヨガは、とても長い年月をかけて変化し、ポーズがあることが一般的になっていきました。
さらに1930年代以降、クリシュナ・マチャリアによって現代人が実践できるヨガの形が作られていきました。その弟子たちがヨガを世界に広めていったと言われています。

参考:「T.クリシュナマチャリア&T. K. V. デシカチャー」https://www.yogahrdayam.com/teacher/ 2023年10月7日閲覧
   クリシュナマチャリア | 長谷川桜子(kamittochuuch.com) https://kamittochuuch.com/krishnamacharya/2023年10月8日閲覧

ヨガの歴史まとめ

ヨガの歴史を下記の表にまとめてみました。

時期できごと
紀元前
2600年
インダス文明の繁栄
モヘンジョダロ・ハラッパーの遺跡から胡坐を組んで瞑想している姿の彫刻を施した印章が出土。
⇒ヨガの起源と言われる
紀元前
1500-1300年
アーリア人のインド侵攻&インダス文明の衰退
 バラモン教の聖典:ヴェーダ(知識の源)編纂
 ・インド文化の土台
 ・ヨガ哲学の基礎となる教えが記載
紀元前
500年
バラモン教の衰退
仏教やジャイナ教の勢力が強化。
紀元前
200年
バラモン教のヒンドゥー教化
ヒンドゥー教の聖典: バガヴァッド・ギーター編纂
400-500年パタンジャリによるヨーガ・スートラ編纂
 ヨガの重要な経典のひとつ
  *スートラ=糸 という意味
1100-1300年ハタ・ヨガ」誕生  =ポーズのあるヨガの総称
1700-1800年クリシュナ・マチャリアとその生徒たちが、現代人が実践できるヨガの形を作り、ヨガを世界へ広めた。
ヨガの歴史まとめ

ヨガにおける『ポーズ』とは何か?

ヨガの定義、歴史についてお伝えしてきました。ここではよりヨガを具体的に知るために、ヨガにおけるポーズの意味合いについて説明します。

ポーズはヨガの一部でしかない?

ヨガ・スートラに記載されるヨガの基本、ヨガの八支則(はっしそく)の中では、ポーズ(アーサナ)は8ステップの内の3番目に記載されています。
この8ステップの最後はサマーディと言って、完全に瞑想が完了している状態と言われます。
つまりポーズは、瞑想のために必要なステップの一つということです。
ポーズの目的は、瞑想に集中するために身体を整えることです。身体の中でどこか痛い場所や気になる場所があると、集中することができません。
先述しましたが、パタンジャリはヨガをヨガ・スートラの中で定義づけしました。 ヨガ・スートラに記載される内容は、現代のヨガにおいても重要な考え方の基盤となっています。

ヨガの八支則ってなに?

ヨガの八支則では、瞑想が完了している状態(8つ目のステップ;サマーディ)に向けて、私たちが何をすべきかを提示してくれています。下記に順番に記載します。

八支則
(サンスクリット語)
日本語 レベル説明
1 ヤマ禁戒行動日常生活で行わない方が良いことの禁止
*暴力をふるわない、嘘をつかない等
2 ニヤマ勧戒行動日常生活で行うとよいことの実践
*身の回りを清潔に保つ、規律ある生活等
3 アーサナ座法姿勢・骨格筋瞑想に向けて身体を整えること
*現在のポーズのこと
4 プラーナーヤーマ呼吸法呼吸・生理学呼吸を整え身体のエネルギーの調整をはかること
5 プラッティャハーラ制感五感・神経系感覚器官を研ぎ澄まし、コントロールすること
6 ダーラナー集中余計な考えを排除し、1つのことに集中するよう努力すること
7 デャーナ
 (ディヤーナ)
瞑想精神1つのことに自然と集中できている状態
8 サマーディ三昧精神瞑想している対象との調和が生まれ、一体感を感じている状態
ヨガの八支則まとめ

1ヤマと2ニヤマは、普段の生活で意識すること、3-5にかけてヨガの実践的な部分、6-8にかけて意識しにくい部分へとつながっていきます。

数年ヨガをやっている筆者ですが、正直、本当のサマーディを感じたことはないかもしれません。
瞑想している対象との調和、というのがいまいちわからず、まだ練習が足りないと感じています。
ただ、サマーディに至るために、各ステップを大事にしようとは思っています。
意外と1や2のヤマ、ニヤマができていない気がするからです。
『暴力をふるわない』なんて当たり前のことですが、自分への暴力(暴言)なども含まれます。
時々自分にやたら厳しくなってしまうことはありませんか?(筆者はよくあります)
『身の回りを清潔に保つこと』も、筆者にとっては簡単なことではありません。
普段の生活を整えることからヨガが始まっているのです。
この辺りは、ヨガが修行ととらえられる所以かもしれません。

ちなみに、1から8という一方通行で説明される場合もあれば、1から8のどこから始めてもよい、1から8が円になっている、など説明のされ方は複数あるようです。

まとめ

今回は、近年人気のヨガについて、意外と知らない本質的な情報をまとめました。
少しでもヨガに興味を持っていただけましたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

参考文献

この記事は、下記書籍およびFIRSTSHIP. RYT200テキストを参考にしています。
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